ミスチルことMr. Childrenには『Tomorrow never knows』や『名もなき詩』、『innocent world』といった数えきれないほどたくさんの名曲がありますが、おそらくファンの方はこんな疑問を抱く方も多いのではないでしょうか?
「桜井さんはどの歌が一番好きなんだろう?」
これはミスチルファンがずっと持ち続けてきた疑問なのですが、実は最近桜井さんがこの答えを公にしてくれています。2019年に行われたドームツアー『Against All Gravity』でも、桜井さんがこの答えをはっきりとファンの前で示してくれました。
誕生のエピソードや歌詞の解釈を含め、今回はこの『ロードムービー』という曲を徹底的に分析していきたいと思います!
※あくまで桜井さんのコメントなどを参考にしながら1ファンが勝手に解釈した個人的な見解です。桜井さんの意図とは異なる可能性もありますので悪しからず。
- ミスチル桜井さんが一番好きな曲『ロードムービー』とは?
- ミスチル桜井さんが『ロードムービー』が一番好きと公言!
- ミスチル桜井さんが一番好きな曲『ロードムービー』の歌詞を分析!
- ミスチル『ロードムービー』がシングル化されなかった理由とは?
- ミスチル『ロードムービー』は未来へ力強く進むカップルの歌
ミスチル桜井さんが一番好きな曲『ロードムービー』とは?
『ロードムービー』は2000年9月に発売されたMr. Children9枚目のアルバム『Q』に収録された曲です。このアルバム『Q』には、『NOTFOUND』や『口笛』といったヒット曲をはじめ、ファンからの支持も熱い『つよがり』や、ライブでの定番曲『CENTER OF UNIVERSE』など、全13曲が収録されています。
そう、鋭い方はお気づきかもしれませんが、 ミスチル桜井さんが一番好きだと語る『ロードムービー』はなんとアルバム曲です。シングル発売はされていません!桜井さんが一番好きと語りながら、なぜアルバムに入らなかったのか、それは後ほど解説します。
ミスチル桜井さんが『ロードムービー』が一番好きと公言!
ミスチルの桜井さんが「『ロードムービー』が一番好き」と公言した証拠は、主に2つあります。(もしかしたら他にもあるかもしれませんが)
2019ドームツアー『Aginst All Gravity』にて
2019年に行われたライブで、桜井さんがこんなMCをしてくれました。(以下要約)
よく「一番好きな曲は?」と聞かれることがあって、「どれも我が子のようなもので選べません」 と答えるけど、本当は「やっぱこの曲が一番好きだな」という曲がある。
2000年のミレニアム問題の時、電気やガスが止まるんじゃないかという不安を抱えながら、買ったばかりの石油ストーブを用意して眠った。2000年の1月1日の朝、目覚めた途端に歌詞が頭の中にバーッと降ってきて、それをノートに書き留めた。 涙を流しながら歌詞を書き、21世紀に歓迎されたような感覚を覚えた。
ラジオ番組「大谷ノブ彦のキスころ」にて
もう一つ2017年の12月、漫才コンビ「ダイノジ」の大谷さんがパーソナリティを務めるラジオ番組に桜井さんが出演しました。その中で桜井さんがおすすめのミスチルの一曲として、この『ロードムービー』を紹介しています。
桜井さん曰く、 「自分が一番好きな歌詞」「良く書けたなと言うフレーズ」があって、それが『街灯が2秒後の未来を照らし~』という部分(後ほど解説します)。でもファンからもあんまり良さに気付いてもらえないので、自分から紹介しなきゃと思ったそうです。
「書いたときに天才かと思った」と豪語するほどの『ロードムービー』。ますます歌詞が気になってきますね。
ミスチル桜井さんが一番好きな曲『ロードムービー』の歌詞を分析!
それでは、ここから『ロードムービー』の歌詞をピックアップして分析していきます。
ミスチル『ロードムービー』の登場人物
『ロードムービー』の主人公は、とあるカップル。関係がうまくいっておらず、何かしらの問題を抱えています。そんなカップルの男性が女性を起こし、夜の街へオートバイで出かけるという描写から歌詞はスタートします。
ミスチル『ロードムービー』の歌詞解釈〈1番冒頭〉
作詞:KAZUTOSHI SAKURAI
いびつなうねりを上げながらオートバイが走る
寝ぼけた君をのせて ほんの少しだけ急いで
月明かりが誘う場所へ
二人はオートバイに乗って出かけますが、この オートバイは二人が歩んでいる日常や人生と重ね合わせることができます。「いびつなうねりを上げている」というのも、二人の関係性がうまくいったいないことのメタファー。「ほんの少しだけ急いで」という所に「なんとかしなきゃ」という焦りのようなものも読み取ることができますね。
二人は身を任せるように月が灯る方へと進んでいきます。「夜のドライブに出かける」とか直接的な表現ではなく、こんなおしゃれな言い回しを使うのはもうさすがです!
嘆きもぼやきもため息も 風に飛んでいくよ
オートバイで走ることで、2人から離れることのなかった 問題が一時的にも飛んでいき、日頃のストレスや不安から二人は解放されます。3つ並べられた「嘆き」「ぼやき」「ため息」はなんだか韻を踏んでいるようにも聞こえますね。
そのあとオートバイは500R(「R」は道の曲がり具合を表す単位で、数字が大きければ大きいほどカーブは緩くなります)のカーブに差し掛かります。高速を走ると分かりますが、500Rはハンドルをちょっとだけ切るようなゆるいカーブ。
もしかしたら 「カーブ」や「角」が人生の問題点や困難を象徴していて、すごく簡単なカーブだけど自分たちが超えていけるということに、どこか快感を覚えていると読み取れるかもしれません。
ミスチル『ロードムービー』の歌詞解釈〈1番サビ〉
今も僕らに付きまとう幾つかの問題
1番のサビの冒頭で、初めて二人に問題があることが明記されます。「付きまとう」という表現が、オートバイで「飛んでいく」という表現とセットになっていて、なかなか離れてくれないものとして描写されています。
この道の上のどこかにあるはずのゴールライン
解決策も見いだせないから、とりあえず飛び乗ったオートバイ。その オートバイで歩む二人の日常や人生に、何か達成感を得たくてゴールラインを探していると読み取れます。「問題」と「ゴールライン」にもしっかり韻が踏まれています。
カーラジオも無く そしてバックもしない オートバイが走る
ただ君の温もりを その優しい体温を
この背中に抱きしめながら
ここは旅カモおすすめポイントだよ!
「カーラジオも無くバックもしない」というのは、二人がどこか不器用で、もう後戻りできないことの例えにも読み取れます。「背中に抱きしめる」という逆説的な表現も、なんとも桜井さんらしくて素敵ですね!
ミスチル『ロードムービー』の歌詞解釈〈2番冒頭〉
カラスが飛び交う空に モノクロの輝く虹
誰も笑ってやしない動物園
オートバイで出かける前、彼女は泣きながら何か夢を見ていたとという描写から2番が始まります。「カラスが飛び交う空」や「モノクロの虹」はいずれも不吉なことの象徴。 彼女も心の中に闇を抱えていることが分かります。
「誰も笑ってやしない動物園」は本来楽しいものなのに楽しくない状況を描写したもので、本来楽しいはずの「恋愛」を描いているのかもしれません。
ミスチル『ロードムービー』の歌詞解釈〈2番サビ〉
汗ばむ季節 君がふと見せてくれた情熱
ファミレスの裏の野良犬が見てたキス
スカートの裾を濡らしはしゃいでたあのビーチハウス
先ほどまでのネガティブなイメージと相反して、ここからは過去の楽しかったイベントを振り返ります。今まで描いてきた暗い現状が、 徐々に「未来に対する希望」へ生まれ変わっていく様子が伝わります。
街灯が2秒後の未来を照らし オートバイが走る
等間隔で置かれた 闇を超える快楽に
また少しスピードを上げて
もう一つ次の未来へ
そして最後にやって来るこのパートこそが、桜井さんお気に入りの部分!
等間隔で置かれた街灯は「2秒後の未来」で、闇があったら必ず次の照らされた未来が必ず2秒後にやってくるという状況に2人は快感を覚えます。つまり街灯こそが明るい未来のシンボルで、「もう一つ次の未来」へと進んでいくことで、二人の将来に希望を見出しています。
夜の街灯に未来を重ね合わせ、二人の人生をオートバイで表現する。これこそが『ロードムービー』の真骨頂で、桜井さんが「一番好き」と公言する曲なのです。「2秒後の未来」なんておしゃれな良い回し、ちょっと天才過ぎません?
ミスチル『ロードムービー』がシングル化されなかった理由とは?
桜井さんの一番のお気に入り曲でありながら、シングルにはならなかった『ロードムービー』。その理由を「大谷ノブ彦のキスころ」で桜井さんが話していました。
要約すると、桜井さんが曲を作るときはメロディーから先に生まれ、後で歌詞を付けていくスタイル。ある程度メロディーが揃った時点で、これはアルバム、これはシングルと振り分けられ、 『ロードムービー』もメロディーの段階でアルバム曲として決定していた。ということだそうです。
桜井さんの言葉を借りると「いい歌詞できたからシングルにしようとはならない」ということで、この『ロードムービー』もアルバムの中に収録されることになったようです。
ミスチル『ロードムービー』は未来へ力強く進むカップルの歌
『ロードムービー』の歌詞をたっぷりと分析してきましたが、この曲に代表されるように、あまり多くを描写しないというのが桜井さんのすごいところだと思います。 キーワードだけ歌詞に放り込んで、あとは聞き手に想起させるというか。何でもかんでも書きたくなっちゃうかさご(夫)とは正反対で、なんだか恥ずかしくなります笑。
「歌詞が好き」というミスチルファンも多いように、とにかく圧倒的な作詞センスを持つ桜井さん。そんな桜井さんがこうしてお気に入りの一曲を教えてくれるのは、ファンにとってはなんとも嬉しいことですね。ぜひミスチルファン以外の人にも、この『ロードムービー』を広めていきましょう!笑
実際に『ロードムービー』がどんな曲か聞いてみたいという方は、Official Youtubeをご覧ください。0:48~0:53の5秒間くらい『ロードムービー』が映し出されています。ステージを夜の道に見立てた演出も素敵!
(Youtube:Mr.Children Oficial Channelより引用)
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あー桜井さんと呑みたい